世界で日本で認めたれた25年以上のヨガ歴を持つ理学療法士が伝えるYoga療法としてのYogaの考え方・寺子屋Koumei 一問一答

股関節インピンジメント（FAI）は、大腿骨頭（球状の太ももの骨）と寛骨臼（骨盤のソケット部分）が異常に接触し、過度の摩擦や圧迫が発生する状態です。

FAIが長期間にわたって繰り返されると、関節唇（関節周囲の繊維軟骨）や軟骨の損傷につながり、慢性的な痛み、可動域の制限、関節機能障害が起こる可能性があります。

FAIのメカニズムと症状は特定の動作や姿勢で顕著になることが多いです。

FAIのタイプは主に以下の3種類に分類されます。

カム型（Cam Impingement）: 大腿骨頭が球状でなく、突出した部分がある場合、股関節の屈曲や内旋時に寛骨臼の縁に引っかかることでインピンジメントが生じます。
ピンサー型（Pincer Impingement）: 寛骨臼が深く、大腿骨頭が寛骨臼の縁に過剰に覆われているため、動作中に衝突しやすくなります。捻り動作中に前部の関節唇に負担がかかります。
混合型（Mixed Impingement）: カム型とピンサー型の両方の特徴を持つもので、屈曲や回旋を伴う動作で特にリスクが高まります。

股関節痛とインピンジメントの違いを理解することは、適切な診断と治療を行う上で重要です。

定義: 股関節痛は、股関節周辺の広範囲な痛みを指し、原因は多岐にわたります。筋肉、腱、靭帯、神経、骨、または関節内部の問題が関与していることが一般的です。
主な原因:
- 筋肉や腱の炎症: 大臀筋、腸腰筋、内転筋などの筋肉の過緊張や炎症。例えば、運動後の筋疲労や過負荷による炎症。
- 関節炎: 変形性股関節症や関節リウマチなど、軟骨の摩耗や炎症による痛みが見られます。
- 神経の絞扼や損傷: 坐骨神経痛や腰椎の障害が関連することがあります。
症状の特徴:
- 運動に限定されない痛み: 座位や睡眠時にも痛みが現れることがある。
- 鈍痛や締め付け感: 持続的な痛みや圧迫感を感じることがある。
- 特定の動作での痛み増加: 屈曲、外転、または内旋時に痛みが悪化することがある。

定義: 特定の動作（屈曲、内旋、捻り）中に大腿骨頭と寛骨臼が異常に接触し、急性または慢性的な痛みや動作制限を引き起こす状態。
主な原因:
- カム型、ピンサー型、混合型の構造異常: 骨の形状が異常であるため、股関節の屈曲や回旋時に骨同士が衝突しやすくなります。
- 関節唇の損傷や骨棘形成: 関節唇の摩耗や骨の異常成長が、特定の動作で症状を悪化させる。
症状の特徴:
- 鋭い痛みと詰まり感: 屈曲や捻りの動作中に鋭い痛みや関節の詰まり感が感じられる。
- 特定の動作に関連する痛み: 深いスクワットやツイスト動作で痛みが増す。痛みは動作中や直後に現れることが多い。
- 動作範囲の制限: 関節の動きが制限され、特に屈曲と内旋の動作が困難になる。

FAIの原因はカム型やピンサー型に限らず、以下の要因でも股関節インピンジメントが発生することがあります。

筋肉の不均衡や過緊張: 股関節周辺の筋力がアンバランスであると、関節を安定させる動作が妨げられ、不適切な軌道での動作が生じやすくなります。これがインピンジメントを引き起こすことがあります。
柔軟性の欠如: 股関節屈曲や内旋の可動域が制限されていると、捻りの動作中に骨が不自然に動くことで摩擦が増加し、インピンジメントが発生しやすくなります。

不適切なフォームや動作パターン: ヨガやスポーツにおける捻り動作で、骨盤が正しく固定されない場合、股関節が過度に内旋・外旋し、インピンジメントを引き起こすことがあります。
不十分なアライメント: 足の位置や骨盤の配置が不正確なまま動作を行うと、股関節に余分な負荷がかかり、関節の異常な摩擦が発生します。

関節唇の損傷や滑膜炎: 繰り返しの摩擦や圧力により、関節唇や滑膜が炎症を起こし、関節の潤滑機能が低下してインピンジメントが発生することがあります。軟部組織の損傷が進行すると、骨同士の衝突も増加します。
骨棘形成: 長期間の負荷により骨の端に骨棘が形成され、これが関節の動きに制限をかけ、インピンジメントを引き起こします。

股関節痛	股関節インピンジメント（FAI）
原因の多様性: 神経、筋肉、腱、関節、骨の問題	骨の構造的異常: カム型、ピンサー型、混合型
全身的な痛みの評価: 筋肉、靭帯の炎症、姿勢の問題、関節炎の評価が必要	特定の動作での痛み増悪: 屈曲・内旋・捻り動作
リハビリテーション: 筋力バランスの改善、ストレッチ、痛みの管理	手術が必要な場合も: 骨の形状修正、関節唇の修復